汗かくメディア2012受賞作品公開展示

アートと遊びと子どもをつなぐメディアプログラム汗かくメディア2012受賞作品公開展示

終了しました

  • 会期
    2012年9月15日(土)から9月30日(日)まで

『汗かくメディア』として第6回目となった今回の公募では、いずれもプロジェクターとセンサーを使うという共通点をもった3作品が選ばれました。センサーはそれぞれ種類が違いますが、人の動きを感知してプロジェクションによって映像をみせるという点で共通しています。
触れないはずの映像へ手をのばして映像をつかまえる《ほしむすび》、自分が動くことで画面を縦横無尽にかえていく《ヒトフデ》、跳躍という行為に焦点をあてて映像と音で遊ぶ《ピカピカトランポリン》。
同種類の「メディア」であっても、その使い方、見せ方(魅せ方)は三者三様で、遊ぶということの可能性と広がりをあらためて実感することとなりました。
(※14日間の公開展示期間に、延べ1万5千人以上の人が新しいあそびを体験しました。)

◎ヒトフデ(人筆)

石原由貴

作品解説

筆跡というものは、みんなそれぞれ違います。それはひとりひとりの手の形、好み、使う道具といった条件がバラバラであるためです。この作品では、それを体全体のこととして捉えてみようと考えました。
子どもは常に動いています。また、体の大きさも様々です。この作品のすることは至ってシンプルで、上部に取り付けられたカメラが人の動きを感知して、その跡をほぼそのまま、スクリーンにプロジェクターで映し出すだけです。しかし、跡は筆で書いたように不揃いで、自分の体の大きさや、動きによって各々異なったものとなります。
どう動いたらどんな跡が残るのか?太い線、細い線、ギザギザな線、真っすぐな線を自分が出すためにはどうすればいいのか?何人かでやるとどうなるか?バラバラで?それとも足並みをそろえて?動きまわることで「発見」をしたものを、次の動きに取り入れて「創造」してゆくという流れを感じていただけたら、大変嬉しいです。
汗をかきながら直感的に、しかし様々な描き方を考えながら遊んでもらいたい作品です。

作家感想

まず、子どもたちのパワフルさにびっくりしました。7メートル四方ほどの空間を縦横無尽にかけまわったり、布を振り回したりして動きまわる様子に、子どもたちの底知れぬ体力を感じました。一区切りがつくと「あつい〜」「つかれた〜」と倒れこみながらも、すぐに次のあそびに向かって走りだしてゆくので、本当に疲れ知らずだと感心しました。でも遊んだあとは汗だくで、真剣に遊んでくれたのを感じ、大変嬉しく思いました。また、《ヒトフデ》には白いカーペットが敷いてありましたが、毎日展示が終わる時間には白い毛玉がたくさん残っていて、いかにたくさんの子が一生懸命に走り回ってくれたのか実感しました。
また表現についても、多くのことを試してくれました。子どもたちはグルグルと駆けまわったり、横へゴロゴロ転がってみたり、側転をしてみたりと、大人にはできない大きな動きをたくさん実践してみせてくれました。また布を振り回したり、投げたり、畳んでみたり、同じ道具でも各々が様々な使い方を発見してお互いのやり方を試してみていました。大人の方は手を使って跡をつけたり、布を腕に括りつけたりと、細やかな表現を試す姿を見ることができました。人によって行動が違うので、見ていて飽きず、楽しかったです。

多くのお子さん、そして大人の方に楽しんでいただけて、大変嬉しかったです。

◎ほしむすび

[チームとるとる]

作品解説

スクリーンや、周りの壁に映し出される美しい星空の中に、動き回る星がいくつか現れ、これらの星を、手のひらの中に捕まえるように追いかけるあそび。スクリーンに映し出された星をすべて捕まえると、星どうしがその場でとまり、お互いに白い線で結ばれ、星座のようになります。捕まえた場所によって、その時々で様々なかたちで星が結ばれていくことになります。星座になった星達は消えていき、また、新しい星が現れます。
大きなスクリーンなので、飛び回る星を一人で捕まえるのは至難の業。何人かで一緒に遊び、加えて、その人たちとコミュニケーションをとり、協力しながら遊ぶことが必要になります。
汗かくメディアということで、『全身で遊ぶ』をコンセプトに位置づけました。
思い切り身体を動かすのはもちろん、あそびの中で生まれる人とのコミュニケーションや、美しい映像によって様々な方向から、心の運動にもなってくれたら、という思いで作っています。

作家感想

「まるを描く」というシンプルなあそびにもかかわらずプロセスが多いため、展示する前は子どもたちに楽しんでもらえるか少し不安でした。ですが、実際に遊んでもらうと、王冠をかぶることを楽しんだり、「点がついてくる!」と喜んだり、「きれいなまるを描く!」とはりきったり、待っている子は「次は何がでるかな?」と予想したり、遊ぶ人によってプロセスに楽しさを見出していて、驚きました。また、親子や友達同士で言葉を交わし息を合わせながら、様々なまるが生まれていき、そこに二人の関係が表れていることがとても印象的でした。もう一つ印象的だったのは、チャレンジタワーという場所です。子どもたちが螺旋のスロープをグルグルと駆け回る下で、まるを描く。それをまるいベンチに座って見ている子もいる。タワーのなかはまる尽くしで、このあそびを展示するにはとても魅力的な場所でした。

また、汗かくメディアに応募したころ、このあそびは大きな針と鉛筆を使ってまるを描くというものでした。ですが、試作を重ねセンターの方と意見交換をするなかで、王冠という装着型のものに変わり、最終的には走って遊べるものになりました。これほど長い期間にわたり遊びを作り上げていく経験がなかったので、この試行錯誤の過程は非常に貴重な経験となりました。

これからも、デジタルな技術をアナログな思考で使いながら、汗をかくような作品をつくっていきたいと思います。

◎ピカピカトランポリン

[NODE]

作品解説

《ピカピカトランポリン》は人が普段あまりしないような動きを取り入れようということで「跳ぶ」アクションを扱いました。
トランポリンには距離センサーが取り付けられており、跳んだときの深さで映像と音が変化する仕組みになっています。この映像は、それぞれのトランポリンで跳んだときに異なるパターンを生成するようになっていて、何人かが同時に跳ぶことでより賑やかな場をつくり出します。
映像と音はレトロな遊園地を意識してあえて少しビットレートの低い表現にしました。

作家感想

今回の展示にあたって、たくさんの子どもに遊んでいただいてよかったと思います。
なんとか会期中もちましたが、やはり大勢の方が体験されるものなので耐久性の面でいろいろと改善が必要だと思いました。思っていたよりもトランポリン自体に興味を示す子どもが多かったのが意外でした。単純な跳ぶ道具なのですが、子ども達がそれぞれ面白い跳び方などを考案しているのが印象的でした。

※プログラム内容は予告なく変更することがあります