特集 あのねっと発「テーマトーキング」
「権利」でもある子育て。
神田先生  皆さんのお話を聞いていて、とても立派な方ばかりで頭が下がります。子育ての役割には、わが家がいちばん納得してない(笑)。高校を卒業して浪人中の子と小学4年の2人いますが、うちも共働きで中野さんと同じように0歳の時から保育園に行っていました。忙しいなかで夫と時間の奪い合いで初めはケンカばかりしてまして、今は半々というか、夫に言わせれば「ぼくが7割」と思ってるかもしれません(笑)。中野さんは、夫婦で時間の奪い合いというのはなかったですか?

中野さん  あるんですが、取り合いをしたら絶対ぶつかっちゃうから、できるだけ私の方で都合をつけてます。子どものことで彼女の職場での評価を下げさせたくないもんですから。私は子育てをすることによって、自分の中に新しい発見がいっぱいあって、それで納得している感じで、夫婦関係がぎくしゃくすることはあんまりなかったですね。さすがに夜12時過ぎて帰ってくると、ちょっと文句を言いますけどね(笑)。
 こっちがほれて結婚したわけですし(笑)、彼女に任せると子どもに逃げ場のない怒り方をしたりして、心配な部分もあるので、ぼくが自分のやりたいことを我慢して子どもをみていた方が、ぼくとしては安心できる。こんなこと言ったら、まずいかな(笑)。

神田先生  子どもの病気で会社を早退したりするときに、言いにくいとかは?

中野さん  それはなかったです。保育園から電話がかかってくると、「行ってこい」って。何回かは都合がつかず、実家の親に行ってもらったこともありますが、専門職だし、チームで仕事をしていないので融通がきく。育児休暇もとりたかったけど、自分のスペアになる人がいなかったので、さすがに踏み切れませんでした。

神田先生  子育ては大変だけれど関わることで可愛さもわかってくるし、中野さんが言われたように、自分の違う面が引き出されるということもある。義務であると同時に楽しいことでもあるわけだから、男性も女性も共にそういう時間を保障すべきという意味で、「権利としての子育て」という言い方もあります。柳田さんのご主人は、子育てにほとんどタッチされない?

柳田さん  一緒にお風呂に入るとか、テレビゲームをやるとかぐらいで、あとは月に何回か全員で食事に出かけたりはします。そのほかは、私からの話や相談を聞いて間接的に関わってるという感じです。

神田先生  精神的な支えも重要ですよね。調査によると、夫が子育てを手伝うと母親の子育て不安やイライラ感が少ない、という結果が出たんです。でも直接手伝わなくても、夫が悩みを聞いてくれたり相談にのってくれたりして、2人で子育てをしているという気持ちがある人の場合もイライラ感が強くない。ただ、実際に子どもとふれあう時間が少ないなかで、精神的なサポートをするのはけっこう大変かもしれませんね。


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