あのねっと18号今号の特集テーマ 子育て家族のお父さん
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ペルーでも日本と同じように、お父さんが外で仕事し、お母さんが家にいることが多いですが、子育ては女性の役割というわけではありません。お互いに協力して育てますし、男性も掃除や料理をします。最近は、結婚しても仕事を続ける女性が増え、その場合はヘルパーさんに家事を助けてもらいます。お父さんが会社帰りに外でお酒を飲んでくることはあまりなく、基本的に家族全員で夕飯を食べます。だから、お父さんと子どもが一緒に過ごす時間もたくさんありますね。また、子育てにおいては、親を尊敬することを大切にします。
 ぼくの父が働いていた会社は、たまたま家の前にあり、昼と夜の勤務があったので、朝4時半ぐらいから仕事のときは、昼ごろ家に帰ってきてみんなでお昼ごはんを食べました。学校も12時半ぐらいに終わり、給食はありませんから。兄弟8人で大きなテーブルを囲み、2時間ぐらいかけて食事をするんですが、そのときにはお父さんがよく話をしてくれました。「今日は学校どうだった?」「友だちとケンカした」といった会話もしていました。また、試験の前日に、父がよく勉強を教えてくれた記憶もあります。子どもの数は、今は2〜3人が一般的ですが、日本のように1人という家庭はほとんどないと思います。
ペルーには保育園はありませんが、幼稚園はあります。小学校は6年間、中学校は5年間あるので、
義務教育は11年間です。そのあと受験をして大学に入ります。小学校から、試験に合格しないと進級できない制度があるところは、日本より厳しいですね。クラブ活動はないので、授業が終わったらすぐ家に帰ります。
 ぼくが子どものころは、学校が終わったあと夕方まで近所の子とサッカーをしたり、テレビでよくやっていた西部劇のまねをして遊んだり。女の子は、人形でままごとをすることが多かったように思います。日本では、夏になるとカブトムシなどを取りますが、ペルーではカブトムシをペットにする習慣はないですね。ペットにするのは犬と猫ぐらいで、鳥といえば食べ物ですし(笑)。
 ペルーでは、週末の夜に近所の人や友だち、親戚と一緒にホームパーティをすることが多いです。食事をしてお酒を飲み、伝統舞踊のサルサを踊ったり。子どもは子ども同士で楽しみます。子どもが成長すると、日本では長男が親と一緒に住むことが多いですよね。でも、ペルーでは上の子どもから結婚して家を出ていくので、一番下の子どもが親と同居することが多いんですよ。
娘のモニカは3歳で、もうすぐ2人目の子どもが生まれます。モニカは相撲が好きなので、よく相撲を取ったり、ぼくが馬になり背中に乗せて遊んだり。絵本を読んであげるときは、奥さんは日本語で読み、ぼくはスペイン語で読みます。話しかけるときもぼくはスペイン語です。娘には、ペルーと日本それぞれのいいところを学んで、バイリンガルになってほしいと思っています。ぼくの父は厳しい人だったので、ぼくも娘のしつけには厳しいほうかな。おもちゃを出したら「ひとりで片づけなさい」と言います。でも、叱ったあとは必ずキスをしたり、「愛してる」と言ってフォローをしますよ。
 夫婦の国が違ってもあまり違いを感じませんし、お互いに自由な考え方を持っているので、子育ても自分の国のやり方にこだわることはありません。でも、休みの日や、友だちとか親戚が遊びに来たときには、ぼくが料理を作るので、そのスタイルはペルー式ですね。
(財)豊川市国際交流協会・国際交流員。1969年生まれ。1991年に来日したのち、豊川市出身の貴子さんと結婚し、モニカちゃん(3歳)をもうける。保育園を巡回し、外国人の保護者と保育士との交流促進も担当。豊川市在住。