あのねっと17号今月のテーマ 子どもの遊びと、おもちゃ・絵本
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トルコ人と日本人は、ともにウラル・アルタイ語族に属していて言葉も考え方も似ています。でも、大きな違いがひとつ。私の個人的な考えですが、トルコ人と日本人は昔モンゴルに隣人として住んでいたけれど、日本人は日が昇る東へ移動したので、昼間する仕事を大事にし、トルコ人は日が沈む西へ移動したので、夜すごす家庭を大事にする(笑)。それは、昼と夜正反対の国旗のデザインにも表れている気がします。だから、日本のお父さんは遅くまで残業しますが、トルコのお父さんは「仕事は明日やればいい」と考えて早く家に帰る。私は、そういう日本人のまじめさと、トルコ人の温かさがミックスされれば、完璧な子どもができると思って、日本の女性と結婚しました(笑)。
 トルコでは、お父さんが子どもを寝かしつけたり、夜泣きをしたときにあやすことが多いですね。トイレにも連れて行くし、公園にも遊びに連れて行きます。お金の管理はお父さんがするので、買い物もよく行きますね。わが家の子育てはトルコ流です。私が夜遅く仕事から帰ったときも、子どもは私と一緒に遊びたくて寝ずに待っているので、私は「ねんね!」と叱って布団のところへ行かせ、30分かけて寝かしつけているんですよ。
トルコの子どもは寝る時間が遅く、団地内の公園で夜11時まで遊ぶこともあります。また、家では、お父さん・お母さんからおもしろい昔話を聞くのも、子どもの楽しみです。トルコ人はジョークをたくさん知っていて、「ワニ足すワニは?…ワシ」といったジョークで、子どもを喜ばせることもありますよ。しりとりもよくやるし、子どもが大きくなると、AならAで始まる単語をたくさん書くゲームもします。私も子どものころ、昔話の得意な近所のおじいさんからよく話を聞きました。田舎に住んでいたので、自分で木のおもちゃを作ったし、木の枝を使って、みんなでベースボールのような遊びをすることも多かったですね。
 トルコ人は、子どもとのスキンシップを大事にします。誰の子でもすぐに近寄ってキスし、子どもの方も、たとえば日本人の親戚がキスをしてくれないと、「この人、私のことが嫌いなんだ」と思ってしまうくらいです。また、日本では、子どもが転んだりして痛がったとき、大人は「痛いの痛いの飛んでいけ」と言いますが、トルコでは痛いところにキスをします。だから、子どもが痛いところを差し出したら、親はそこにキスをしなければいけません。それが、足の裏であってもね(笑)。
トルコでは、親戚や近所の人とのつながりがすごく強いんですよ。毎日、お客さんが来たり、自分たちがよその家へ遊びに行ったり。子どもはいろんな子と一緒に遊び、たくさんの大人に見守られているので、家族のとらえ方が広いですね。そうやって、小さいうちから社会を知り、強くなるので、もし学校でいじめられたら、男の子も女の子もやり返します。また、自分の意見をはっきり言うし、10歳でも大人みたいな話し方をします。 子ども同士が遊んでいる間、大人たちは別の部屋でお茶を飲みながら話をして楽しみます。だから、日本のように、お母さんと子どもが二人っきりということは少ないですね。買い物に行くときに、マンションの隣人に子どもを預けるのも当たり前です。もし、お母さんがストレスを感じたときには、おじいさん・おばあさんに子どもを任せて働いたり、夫婦で出かけたりすることもあります。
名古屋トルコ文化センター校長。1971年トルコ生まれ。1997年に来日した後、琴苗さんと結婚し、天馬くん(3歳)・しずくちゃん(1歳)の2児をもうける。名古屋市在住。
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