特集 あのねっと発「テーマトーキング」
各家庭の個性を生かし、子育てを楽しめる条件づくりを。
神田先生  以前は女性が仕事を一旦やめたらおしまいみたいな感じでしたが、いまは働き方が多様になって、もう一度仕事に復帰したいと考えているお母さんたちが増えています。そうすると専業主婦時代というのは、仕事に向けての助走でもあり、仕事に就いた場合を想定した家事や育児の分担ということも出てきます。亜紀さんは将来どうしようとか考えておられますか。

亜紀さん  第2子のことも頭にあるので、仕事のことはまだ考えてないんですが、将来的には何かするとしても、必ずしも収入に結びつくことをするかどうかはわかりません。今の状況を楽しみたいと思っているので、将来のために特別に勉強とか趣味を始めなくても、時間的に許す時期が来たときに考えればいいかなと。私自身は何をするにも年齢制限はないと思ってるんですが、現実の社会は年齢制限だらけで、いざやりたいことができた時に、その厳しさを感じるのかもしれませんが(笑)。

柳田さん  私は、雇っていた事務員さんがやめると同時に、お姑さんに言われて仕事を始めたから、そのための準備はしてないんです。8時半に保育園へ送って、そのあとからお迎えの3時半か4時ぐらいまで働いて、お昼休みに食事に出たときに、買い物をすませるという生活です。洗濯は夜、子どもが寝てからやって朝干します。手を抜くところは抜いてますよ(笑)。

神田先生  洗濯も半端な量じゃないですよね。

柳田さん  洗濯は嫌いじゃないんです。働き始めて大変になったという感じはなかったですね。

中野さん  でもご飯の準備だけでも大変だと思うよ。洗濯とかは機械がやってくれるけど、料理だけはニンジンとかタマネギを入れとけば何かしてくれるわけじゃないしね。(一同笑)

神田先生  そこまではねえ(笑)。

中野さん  毎日同じものというわけにはいかないし。

柳田さん  そうですけど。うちはみんな同じおかずで、夫に1品余分に作るくらいです。遊んだあとの片づけは各自でやってもらうし、私の留守中は、上の3人には鍵を持たせてますので、学校から帰ってきたら自分で鍵をあけて、また各自遊びに行っちゃいます。適当と言えば適当かもしれません。
 近所とのつきあいがあって、今日もいちばん上の子の友だちのお母さんが、赤ちゃんをみてくださってるし、たまに私が友だちと映画や食事に行くときは、私の母が来てくれて5人預けても平気でみてくれます。そういうところで発散してるのかもしれないですね。

神田先生  今日お話をうかがって思ったのは、いろんな調査結果とも共通するんですが、お父さんお母さんが自分のやりたいことを我慢しない、イライラしてないことが、子どもにとっていちばん大事かなということですね。「これがいい家庭」というたった一つのモデルはないと思いますし、皆さんもそれぞれご家庭の個性があって、生き生きとやっていらっしゃる。
 子どもは自分と一緒にいて楽しんでいる人になつくので、子どもとのふれあいを楽しむことも大事ですよね。楽しむためには条件があって、例えば仕事と子育てを両立する方がいいのか、子育てに全力投球する方がいいのかということ。そして、時には子どもを預けて息抜きをするといったこともありますね。まわりの人に支えてもらいながら、楽しむためには何が必要かを考えて実行していく。自分のためにいいことは、翻って子どものためにもいいということですね。

編集室より
子育てはどの年齢の子どもでも、親にとっては精神的にも肉体的にも大変なことです。そしてその子育ての役割について一般的には、幼児の細かい世話はお母さん、外での遊びはお父さん、というように分けてとらえられがちです。そこで本当にそうなのかを話し合っていただくために、さまざまな家庭のお父さんやお母さんに集まっていただきました。話が進むにつれて、各家庭の子育てに対する独自のやり方が見えてきました。発言される方々の自信ある表情から、神田先生が言われたように、子どもと一緒に楽しめるならその役割はどちらの親がやってもいいし、それぞれの家庭の個性が生かされた子育てが一番いいのだと実感しました。
●開催日/1999年7月


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