特集 実感!!Special Edition
スタッフも本音や弱さを見せながら。
岡村さん
 ディスカッションは大事な時間だが、話すことが苦手な人もいる。
 親子教室の元参加者の岡村享子さんは、「言いたくてもうまく言えないし、文章にもできない。それで、帰ってから家で料理をしながら、こう言えばよかったんだと後悔したり、来週は絶対に言うぞと思ったり(笑)。でも話せるようになったらスーッとしたし(笑)、だんだん楽しくなっていった。私にとってあの時期、なくてはならない場所だったと思います」。

 丸山さんは言う。
「遊ぶことで自分の感性を引き出し、話すことで自分の気持ちに目を向けてもらう。それを続けていくことで、だんだん話したくなり、自分の本質が見えてきて、それにどう対処するかを見つけていける。だから継続することが大事なんですね」。

 今井田貴子さんも元参加者だ。
 「話さなきゃいけない、遊ばなきゃいけないとなると辛いんですが、ただ座っているだけでもいい、という雰囲気だったんですね。私にとっては、子どもと離れる時間を持てたことが一番よかった。表現の仕方は人によっていろいろだから、話すのも書くのも両方苦手でもかまわないと思う」。
今井田さん
 あまり話さない人に対して、スタッフが誘導することもあるという。
 「スタッフによって声のかけ方が違い、また同じ会場でも担当者は変わるので、参加者との関係がスムーズにいくよう、スタッフ同士のコミュニケーションが大事なんです」と岡田さん。
 スタッフは親子教室の後に毎回ミーティングを開き、参加する親と子について話し合う。例えば、遊び方がぎごちない子のお母さんが、ディスカッションで問題を抱えていることがわかった場合には、次回の教室では遊びの面でもその親子に配慮する。
 託児スタッフや遊びの講師の経験が買われ、まめっこのスタッフになって1年半の柴田さんは「ディスカッションの進行が未熟」という。
「自分が本当に伝えたいことをうまく言えなくて、話がテーマから外れてしまうことがあるんです。それに、気になるお母さんの話を引き出してあげたいと思うのに、できなかったり。でも、そういう場合は終わったあとで個人的に声をかけて、あやまっちゃうんです(笑)。まだスタッフとして発展途上で、アドバイスを受けながらやっています」。
 柴田さんの話を受けて走出さんは「私たちも未熟な母親で悩みながらやっているので、ホンネを出しながら接することで、参加者に共感してもらえたらいいなと思います。そういう気楽さからか、ディスカッションで話し足りなかった人が、あとで電話や手紙でスタッフに伝えてくることもあるんですよ」。
 ディスカッションでは、スタッフ自身も同じテーマを突きつけられる。スタッフも含めて親として、大人として、女性として、お互いにホンネを言い、弱さを見せ合うことでホッとできる。先生と参加者という関係ではつくり得ない、心地いい雰囲気がそこにはあるようだ。


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